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国際結婚について


1.ケース別・国際結婚手続き   2.国際結婚と国際私法        3.実質的成立要件とは?
4.形式的成立要件とは?     5.届出と婚姻要件具備証明書    6.国籍の選択について
7.国際結婚の親子関係      8.国際結婚の解消(離婚)     
 9.Q&A 



1.ケース別国際結婚手続き
 「国際結婚」という言葉は、もともと法律用語ではなく、明確な定義が存在しません。そのため「国際結婚」という言葉は色々なシチュエーションを指して使われているようですが、ここでは、日本国内で日本人と外国人が結婚/外国で日本人と外国人が結婚/日本国内で外国人同士が結婚するケース、という3つの類型(ケース)を取り扱います。難しい法律上の概念はさておき、まずは、ケースごとに、必要な手続きとその流れを大まかにみていきましょう。

【ケース1】日本で日本人と外国人が結婚

①日本の役所に最初に届出をする場合
  まずは自分の住所地の市区町村役場に「婚姻届」に必要記載事項を記入し、
 日本人:・戸籍謄本
 外国人:・旅券、
      ・婚姻要件具備証明書
      (婚姻要件具備証明書がない場合)
      ・宣誓供述書(AFFIDAVIT アメリカ人、インド人、パキスタン人、マレーシア人など)
      ・申述書(在日韓国・朝鮮、中国籍の方々)
      (その他、必要に応じて)
      ・外国人登録原票記載事項証明書
      ・本国の公証人証書
      ・翻訳文
 という必要書類を添付の上、提出します。届出が問題なく受理されれば、めでたく婚姻が成立します。
  結婚成立後、日本人に関しては親の戸籍から独立した、新しい戸籍が作られますが、外国人に関しては日本人  の戸籍の「身分事項」欄に婚姻の事実が記載されるにとどまります。
 
  この結婚の日から6カ月以内に届け出ることによって、戸籍上の姓を変更することができます。
 6カ月を過ぎると、家庭裁判所に「氏の変更の申立」を行わなければならなくなります。
 
 この後、相手国の大使館・領事館等に届出をすることで、相手の国でも正式に結婚が成立します。

②相手の国の公的機関(大使館等)に最初に届出をする場合
  大使館・領事館など、駐日の公的機関への届出や、宣誓、結婚の儀式などの手続きを経ることによって、まず相手国で先に結婚を成立させます。
 そして、この結婚の成立によって相手の国から「婚姻証明書」が発行されますから、これを結婚の日から30日以内に日本の市区町村役場に、婚姻届とともに提出します。
 後に詳しく述べしますが、日本の法律では、日本人が日本で結婚する場合市区町村役場への届出することが求められていますから、この役所の届出があるまでは、日本法ではまだ結婚が成立していないということに注意してください。
 また、このような自国民以外との結婚を在外大使館等で受け付けてくれる国と、そうでない国とがありますので、あらかじめきちんと確認しておく必要があります。


【ケース2】外国で日本人と外国人が結婚 
①相手の本国で結婚する場合
 結婚の成立に必要な方式は、それぞれの国によって大きく異なります。日本のように、定型の書面の提出のみで結婚が成立する国ばかりではありませんので、渡航前に相手国の駐日大使館・領事館等に問い合わせ、結婚に関する法律をよく調べておく必要があります(⇒4.形式的成立要件とは?)。相手国では日本人は「外国人」となりますから、結婚の条件を備えていることを証明するために、日本に比べ、多くの書類を提出することになるでしょう。

必要書類としては以下のようなものを要求されるでしょう。
 日本人:・旅券
      ・婚姻要件具備証明書(日本の市町村役場で発行してくれます)
       (国、ケースによっては)
      ・在職証明書
      ・納税証明書
      ・宣誓書(AFFIDAVIT)
      ・公印確認証明
      ・改宗宣言書(イスラム教シーア派の方との結婚)
      ・健康診断書

 相手国の行政機関、結婚登録機関等に必要書類等を提出し、所定の手続き・儀式等を経て相手国で結婚が成立すると、「婚姻証明書」が発行されます。これを、相手国の日本大使館等に提出(届出)するか、日本の本籍地の市区町村役場に郵送すれば日本人(戸籍筆頭者でない場合)に関して、新たな戸籍が作成されます。
 なお、外国で結婚する場合、正式な結婚成立から3か月以内に届出なければなりません。これに違反すると3万円以下の科料を要求されることがあります(もちろん、科料を取られても結婚の成立には影響はありません)。
 また、この場合も氏の変更を希望する場合は6ヵ月以内に本籍市区町村に届出をしなければなりません。

②第三国で結婚する場合
 日本でも、結婚相手の本国でもない第三国で結婚する場合、その結婚の方式は、日本の方式、結婚相手国の方式、二人が現在滞在している第三国の方式のいずれかを選ぶことができるとされています(法の適用に関する通則法24条2項、3項)。その国の結婚方式をよく調べて、最も負担のない方式を選べばよいでしょう。
 
 【ケース2】―①と同様に、結婚が成立したら、3か月以内に「婚姻証明書」を日本大使館等に直接届出けるか、日本の本籍市区町村役場に郵送します。氏の変更を希望する場合も上記【ケース2】―①同様、6ヵ月以内に本籍市区町村に届出をしなければなりません。

【ケース3】日本で外国人同士が結婚
 外国人同士も、もちろん日本国内で結婚することができますが、結婚の条件(⇒3.実質的成立要件とは?),
結婚の成立に必要な方式(⇒4.形式的成立要件とは?)、また、日本の方式が認められるかどうか、などの規定はは各国の国際私法(⇒2.国際結婚と国際私法)によって異なります。まずは自国の法律をよく確認してください。
 外国人が日本で結婚する場合の主な必要書類は、
 ・旅券
 ・婚姻事項記載届
 ・婚姻要件具備証明書
 です。


 以上、ケースごとに国際結婚の手続きを大まかに眺めてきました。要領の良い方ならば、これだけで何となく国際結婚の手続きが把握できたでしょう。
 しかし、多くの方にとっては、難しい用語や、「なぜそうなるのか?」という疑問点がたくさん出てきて、不安を覚えるのではないでしょうか。そのような方が国際結婚をスムーズに行うために必要な知識を、以下に解説してありますので、よくお読みの上ご活用ください。
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2.国際結婚と国際私法
 私たち人間の生命・身体、精神、経済活動は、人として生まれた瞬間より自由であることを保障されています。これは身分・人種・性別を問わず生来のものであり、法や国家の存在を待ちません。
 しかし、人と人とが互いに、自己の自由に生きる権利を行使した結果、しばしば利害関係が生じ、ときには深刻な対立を招くことがあります。このようなとき私たちは、法によって定められた一定の手続きによって自らの権利を証明し、その保護を要求することができます。

 結婚(婚姻)による身分関係の変化もその一つです。

 日本で、婚姻に関して定めた法律としては「民法」があります。日本人同士の婚姻を成立させるのであれば、この「民法」の規定にしたがえばよいのです。
 しかし、結婚の相手が、外国人、つまり自分とは異なる国籍の持ち主(無国籍を含む)であった場合、そうはいかないのです。なぜなら、外国人との婚姻・離婚・養子縁組などによる法律関係(「渉外身分関係」といいます)には相手の国の法律も関係してくることが法によって定められているからです。
 このような、私人間の国際的な法律関係において、どの国の法律を適用させるかを定める法律を「国際私法」といいます。

 
 日本には現在、「
法の適用に関する通則法」という国際私法があります。結婚(婚姻)も私人間の法律関係ですから、相手が外国人であれば当然にこの「法の適用に関する通則法」(以下「通則法」)の対象となります
 この「通則法」は、婚姻のほか、離婚や遺産相続、親子関係についても規定しています。これから国際結婚をしようと考えている方にとってはとても重要なものばかりです。言葉づかいなども独特で難しい(改正される前の「法例」に比べれば遥かにマシですが)とは思いますが、一度は目を通しておきましょう。



※「法の適用に関する通則法」が作られる以前、日本の国際私法には「法例」という変わった名前の法律がありました。この「法例」は、制定された1898年(明治31年)という時代背景もあり、家長主義、男尊女卑などの思想が強く反映されていて、国際結婚においても、特に外国人妻が不利な立場に置かれる内容でした。
 その後1990年に一度改正がありましたが、現在の「法の適用に関する通則法」が制定される2006年(平成18年)までずっと、この「法例」が使われ続けていました。
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3.実質的成立要件とは?
  「法の適用に関する通則法」では、婚姻に関して以下のように規定しています。

(婚姻の成立および方式)
第24条 婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による。
2 婚姻の方式は、婚姻挙行地の法による
3 前項の規定に関わらず、当事者の一方の本国法に適合する方式は、有効とする。ただし、日本において婚姻が挙行された場合において、当事者の一方が日本人であるときは、この限りではない。


 この条項は、国際結婚が成立するための条件として、どの国の法律にしたがえば良いのか、また、必要な手続きに関してどの国の法にしたがえば良いのか、を定めたものです。
 年齢、再婚禁止期間(待婚期間)など、結婚が成立するために当事者が備えておくべき条件を、婚姻の
実質的成立要件といいます。また、官公庁への提出書類や宗教的儀式など、結婚が公に証明されるために必要な方式を、婚姻の形式的成立要件といいます。

 国際結婚をする上では、まず実質的要件を検討することが重要です。日本の民法に定める、婚姻の実質的成立要件は次の通りです。

ⅰ)男性18歳以上 女性16歳以上の年齢であること
(※ただし、未成年(満20歳未満)は父母の同意を得なければならない)
ⅱ)重婚でないこと
ⅲ)再婚する女性は前婚の解消・取消から6カ月以上経過していること
ⅳ)直系血族または三親等以内の傍系血族同士の近親婚でないこと
ⅴ)直系姻族間の結婚でないこと
ⅵ)養親子関係者間での結婚でないこと


 日本人と外国人の結婚の場合、ⅳ~ⅵが問題になることは少ないでしょう。ですから、多くの場合、年齢、未成年者に対する父母の同意の要否、重婚規定、再婚禁止期間(待婚期間)などに着目することになります。
 以下に、上記の要件に着目した「国別実質的成立要件」の一覧を掲載しました。まずはよく確認しましょう。


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【国別実質的成立要件一覧】

国籍と注意点

○中 国
男性 22歳以上
女性 20歳以上
女性の待婚期間なし

○中華民国(台 湾)
男性 18歳以上
女性 16歳以上
※未成年者(20歳未満)は法定代理人の同意が必要
女性に6ヵ月の待婚期間あり
姦通により裁判離婚を経た者の姦通者との結婚禁止

○韓 国
男性 18歳以上
女性 16歳以上
※未成年者(20歳未満)は両親の同意が必要
女性は離婚後6ヵ月の待婚期間あり
禁治産者の婚姻は父母又は後見人の同意が必要

○フィリピン
男女共 18歳以上
※18歳以上21歳未満は両親の同意書が必要
※前婚歴がある18歳以上21歳未満の者は両親、後見人等の法定代理人の同意書が必要
※21歳以上25歳未満の者は両親、後見人等の承諾書が必要
未亡人には夫の死別後300日の待婚期間あり

○タ イ
男女共 20歳以上
※未成年者(20歳未満)は両親の同意や裁判所の許可が必要
女性に310日の待婚期間あり

○インド
男性 21歳以上
女性 18歳以上

○パキスタン
男性 18歳以上
女性 15歳以上
※それぞれ保証人が2名必要

○イラン
男女共 18歳以上
法律上第四婦人まで多妻帯規定あり
※ただし国際結婚においては認められない

○ペルー
男女共 18歳以上  
女性には300日の待婚期間あり

○ロシア
男女共 18歳以上
女性の待婚期間なし

○アメリカ
男性 21歳以上
女性 18歳以上
※両親の同意あれば男子18歳、女子16歳での結婚を認める州法が多い
※州法による差が大きい

○イギリス
男女共 16歳以上

○イタリア
男性 16歳以上
女性 14歳以上

注)特に記載のない場合、法により重婚が禁止されている。

 
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 「通則法」では婚姻の成立、つまり実質的成立条件に関して「各当事者につき、その本国法による」としています。つまり、
男女それぞれが、自分の国の法律に定められた条件をクリアしていればよいのです。これを「配分的適用」といいます。
 ただし、
配分的適用には、次のような例外があります。

①「双方的要件」の場合
 婚姻要件には、当事者の一方だけが自国の法で適法であれば良いもの(一方的要件)と、相手の国の法律要件も満たさなくてはならないもの(双方的要件)もあります。両者の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

【一方的要件】
・婚姻の意思
・適正年齢
・未成年者への両親、法定代理人等の同意
・婚姻にふさわしくない病気や行為能力の欠如等
【双方的要件】
・待婚期間中でないこと
・重婚でないこと
・近親婚・相関関係でないこと
・宗教上禁止されている婚姻でないこと

反致が行われる場合
反致」は「反対送致」という国際私法上の用語を略したものです。簡単に言えば「相手に送り返す」ということです。
 たとえば、Aという国で○○という法律行為を行うとします。A国の国際私法では「○○を行う場合は相手国であるB国の法律に従いなさい」との定めがあります。そこで、B国の国際私 法を調べてみると「○○に関しては行為地国(法律行為を行った国)の法律に従いなさい」と定められていた・・・。このようなことが、現実にしばしば起こります。
 日本の「通則法」では、第41条で「反致」をとり挙げ、「当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による」と、しています。ただし、第25条(婚姻の効力)、第32条(親子間の法律関係)においてはこの限りではないとし、その効力を限定しています。
 
 具体的な例としては、日本で日本人と外国人が結婚を成立させたい場合、もし相手国では14歳での結婚を法で認めていても、その国の国際私法に「婚姻の条件は行為地法に従う」といった規定があったならば、「反致」により、日本の民法の「男子は18歳以上、女子は16歳以上」という規定に従うことになります。

③公序良俗に反する場合
「通則法」第42条には「外国法によるべき場合において、その規定の適用が公の秩序又は善良の風俗に反するときは、これを適用しない」としています。
 各国の法律上の規定は、その国のたどってきた歴史や生活習慣、宗教的価値観を反映しています。それを尊重するのは良いとしても、外国の生活習慣の中には、日本のものとはあまりにかけ離れていて、それを認めてしまうと、公の秩序・風俗に好ましくない影響を与えるものもあります。具体的な例としては、一夫多妻、幼児婚、結婚相手の人種による制限などがそれにあたり、多くは法務局での受理照会を経て処理されることとなります。
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4.形式的成立要件とは?
 形式的成立要件とは、2.実質的成立要件でも説明しましたように、「官公庁への提出書類や宗教的儀式など、結婚が公に証明されるために必要な方式」のことです。
 結婚の方式は、国ごとに大きく異なります。ですから、どの国の方式にしたがって結婚するかということは、国際結婚をスムーズに行う上で、とても重要なことです。
 
各国の婚姻の方式は大きく以下の3種に分類されます。

・民事婚
 所定の書面などにより、市役所や結婚登録所などの機関に婚姻の事実を届け出る「届出婚」や、役場の儀式によって婚姻が成立する「儀式婚」などがある
・外交婚
 在外公館に届けることによる結婚の方式です。
・宗教婚
 宗教儀式によって婚姻を成立させる方式です。カトリック、ギリシア正教、ロシア正教などキリスト教を国教とする国家のほか、イランなどイスラム教諸国で多くこの方式が採られています。

 日本では、婚姻は市区町村役場への届出、という方式によって成立することとされています(民法738条、および戸籍法1条、同第4条)。これは「民事婚」の中の「届出婚」にあたります。

 結婚の方式の選択については、「通則法」第24条の第2項、第3項以下のような規定があります。

2 婚姻の方式は、婚姻挙行地の法による
3 前項の規定に関わらず、当事者の一方の本国法に適合する方式は、有効とする。ただし、日本において婚姻が挙行された場合において、当事者の一方が日本人であるときは、この限りではない。

 つまり、日本人がA国の人と結婚する場合、日本あるいはA国の方式のどちらかを選べばよく、また、二人が現在第三国であるB国にいる場合は、それらに加えてB国の方式でも可能ですが、当事者のどちらか一方が日本人で、日本で結婚を成立させるときは、日本の方式、つまり市区町村役場への届出しか認められていません。
 例えば、宗教的儀式によって婚姻の成立を認める国も数多くありますが、日本における婚姻の形式的成立要件は、先ほど述べたように「市区町村役場への届出」ですから、日本国内で、当事者の一方が日本人の場合は、儀式のみでは婚姻は認められません(基本通達第1の2(3))。
 日本に在住している外国人同士の場合は、本国の法に定める方式にしたがい、在日大使館・領事館への届出や、日本国内の教会・イスラム教会での宗教婚でも有効に婚姻が成立します。

 ところで、世界各国がそれぞれ異なる法律を備えているために、婚姻の成立に関しても、日本では有効に成立しているけれども、相手の国では無効(あるいはその逆)ということがあります。このような状態を
跛行(はこう)状態、特に結婚に関しては跛行婚(はこうこん)といいます。
 
日本人が国際結婚することによって跛行婚になる例としては、
・法律上、離婚を認めない国の方との離婚
⇒日本では離婚を認めているため、役所への離婚届の時点で離婚が成立しているが、相手国の法律上、その後も婚姻関係が継続していることになる。
・外交婚を認める国の方と外交婚を行った場合
⇒日本では外交婚を認めていないため、外交婚によって相手国の法律上は婚姻が成立しているが、日本の法では夫婦とみなされないことになる。ただし、発行された結婚証明書を持って市区町村役場に届出を出すと、その受理の時点で新たな結婚の届出(創設的届出:後述)があったとみなされる。

などがあります。
このような事態を避けるため、結婚の前に、相手の国の法律をよく調べておきましょう。
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5.届出と婚姻要件具備証明書
 
 多くの国では結婚を有効に成立させるための方式として、行政機関や結婚登録所への届出が必要になります。国際結婚において、最初に法的に有効な結婚を成立させる届出のことを、婚姻の
創設的届出といいます。そして、創設的届出が正式に受理されたことに基づいて、もう一方の当事者の本国の機関に対して行う届出を婚姻の報告的届出といいます

 たとえば、日本人とフランス人とが日本で結婚する場合、最初に日本の役所に提出した届出は創設的届出であり、その後にフランス大使館に対して行った届出は報告的届出となります。また、そのカップルが第三国にいて、滞在地の法に基づき、婚姻の儀式によって結婚を成立させた場合、後にそれぞれの本国の役所に対して行った届出は報告的届出ということになります。

 市区町村役場に国際結婚の届出があると、正式な受理の前に、その婚姻の当事者が婚姻の実質的成立要件をちゃんと備えているかどうかの審査が始まります。創設的届出の審査は、一般的に報告的審査のそれよりもずっと時間がかかります。なぜなら、創設的届出の時には、当事者双方が婚姻の実質的成立要件を満たしているかの厳密なチェックが必要となるからですが、報告的届出の場合は、すでに相手国での審査を経ているわけですから、改めて実質的要件を厳密にチェックし直す必要はないわけです。相手国での結婚の成立の事実が客観的に証明できればそれでよいわけです。

 日本人配偶者に関しては、戸籍、戸籍謄本を使って簡単に審査することができるのに対し、外国人配偶者は、日本の戸籍上の記載がありませんし、準拠法(審査の基準のとなる法律、この場合は配偶者の本国法)を調べるのも困難です。
 ですから実務上、原則として届出の本人(外国人配偶者)が、役所に対し、本国法の定める身分行為の要件を備えていることを自分で立証するという取り扱いがなされ(大8・6・26民事841号回答、大11・5・16民事3471号回答)、具体的な立証方法として、
婚姻要件具備証明書の提出が求められていまます。

 婚姻要件具備証明書とは、権限ある官憲が、当事者である自国民の身分関係事実と、婚姻の成立のために本国法上必要とされる条件を備えていることを証明した書面のことです。
 婚要件具備証明書の内容は、本国法の実質的成立要件を一つ一つ挙げて、それを一々証明した内容でなくとも良く、全要件を備えている旨を一括的に証明したもので良いとされています(昭30・2・24民事甲394号回答)。婚姻要件具備証明書を発行する「権限ある官憲」とは、いわゆる行政庁のようにも受け取れますが、これは各国の制度によって大きく異なり(在日大使、領事の場合もあれば、弁護士、裁判官、公証人、あるいは、警察部長や牧師が発行する国もあります)、日本の役所もそれに対応していますが、できるだけ信頼のおける資料を用意すべきであることは言うまでもありません。

 なお、世界には「婚姻要件具備証明書」を発行するというシステムそのものがない国も多く、そのような国の人間と日本人との結婚を、「婚姻要件具備証明書」がないという理由のみで即ちに拒否するのは問題があります。
よって、そのような場合には、
・「宣誓供述書(AFFIDAVIT)」(領事など権限のある者の前でした要件具備の宣誓を書面化したもの)
・「婚姻証明書」(相手の本国で先に婚姻が成立した場合)
などを「婚姻要件具備証明書」として受理することも可能とされています。

 また、これらの書類も用意することができない場合、
・「申述書」(婚姻の実質的要件、婚姻要件具備証明書を入手不可能な理由を記載)
・「法文の写し」(本国法と出典を記載)
これに「身分証明書」「出生証明書」「旅券(パスポート)」「訳文」を添付して提出することもできるとされています。
ただし、専門家に依頼しなかった場合、審査にかなりの時間がかかり得ることは念頭に入れておきましょう。
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6.国籍の選択について
 日本人が外国人と国際結婚することで、当事者の国籍にはどのような影響があるのでしょうか?また、国際結婚夫婦の間にできた子供の国籍は一体どうなるのでしょうか?このことはこれから国際結婚する方にとっては非常に気になるところではないでしょうか?
 
【1】国際結婚と日本人の国籍
 
 現行の「国籍法」から読み取れる特徴としてまず知っておいていただきたいのは、①日本人が国際結婚をしたことによって、直ちに日本国籍を失うことはないこと ②原則として日本人が重国籍(二重国籍)になることを認めていないこと、です。

 ただし、各国の法律では、夫側の国籍を優先し、妻がそれに従うことを要求する規定も多く存在するため、日本人女性が外国人男性と結婚する場合には注意が必要であり、国際結婚後の国籍の変化について次の3つのケースに分けてことが考えられます。

1.結婚することで当然に相手国の国籍を得る場合
 日本人女性がアフガニスタン、イラン、エチオピア、スイスなど、「夫婦国籍同一主義」を採る国の男性と結婚した場合、夫の本国の国籍を自動的に取得します。注意して頂きたいのは、このとき日本国籍が失われるわけではない、ということです。このときの日本人妻の状態を「重国籍」あるいは「二重国籍」と呼びます。
 
 国籍法14条には、重国籍となったのが20歳に達する以前であるときは22歳になる前に、20歳に達していた場合は、それから2年以内にいずれか一方の国籍を選択しなければならないことが定められています。日本国籍選択の意思表示は、所在地、あるいは本籍地市区町村役場への届出で可能です。
 なお、上記期限内に国籍選択の意思表示がなされなかった場合、法務大臣より国籍選択の催告が書面によって行われます。催告を受けた日から1か月以内に意思表示をしなかった場合、日本国籍を喪失することになります。
 
2.結婚後の意思表示によって相手国の国籍を得る場合
 日本人女性がドイツ、フランス、ベルギー、ポーランド、インドネシア、インド、エジプト、タイ、ペルー、マレーシアなど、の男性と結婚した場合で、相手国籍の取得を希望する場合は、国籍選択の意思表示をすることで、相手国の国籍を得、日本国籍を喪失することとなります。意思表示の方法については、相手国の結婚の方式をあらかじめよく調べておいてください。外国語で書かれた日本国籍喪失の書面にサインしていた事に後で気づいた、という例があります。

3.帰化によって相手国の国籍を得る場合
 結婚の成立後、相手国への帰化申請によって相手国籍を得るケースです。申請が許可された場合も、自動的に日本国籍が失われる訳ではなく、日本国籍喪失の届出を行う必要があります。



【2】国際結婚と外国人の国籍
 
日本の「国籍法」には、国際結婚によって外国人が日本国籍の取得するという規定はありませんので、結婚後も国籍には変化がないとご理解ください。
 日本国籍の取得を希望される場合は、帰化許可申請を行う必要があります。「帰化」のための条件は日本の国籍法に定められていて、外国人が日本に帰化したいと思った場合、次の6つの条件を満たさなければならないとされています。

1.引き続き年以上日本に住所を有すること(国籍法
2.20歳以上で本国法によって能力を有すること(国籍法号)

3.素行が善良であること(国籍法号)

4.自己または生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること(国籍法号)

5.国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと(国籍法号)

6.日本国憲法施行以降の日において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと(国籍法号)

<ポイント>
1.引き続き年以上日本に住所を有すること

 「住所」とは日本の民法22条で定める「生活の本拠」のこと。簡単に言えば「毎日寝たり起きたりする場所が決まっていて、その場所があることをきちんと市町村役場に届けてある」ということです。「日本で家を買った」というだけではだめです。

 なお、1.の条件はつぎのような場合は免除されます。

a.日本国民だった者の子(養子は含まれません)で、引き続き3年以上日本に住所又は居所(住所でなくてかまいません)がある方

b.日本で生まれ、引き続き年以上日本に住所若しくは居所がある方。又はその父母若しくは母(養父母は含まれません)が日本で生まれ、現在日本に住所がある方。

c.引き続き10年以上日本に居所があり、現在日本に住所がある方。

d.日本人と結婚している外国人で、引き続き年以上日本に住所又は居所があり、現在日本に住所がある方。あるいは、婚姻の日から年(この年間は外国でも構いません)を経過し、引き続き年以上日本に住所がある方。

e.日本国民の子(養子は含まれません)で日本に住所がある方、あるいは引き続き年以上日本に住所があり、縁組のとき本国の法により未成年であった方

f.日本の国籍を失った方で、日本に住所がある方。ただし日本に帰化した後で日本の国籍を失った方は含まれません。

g.日本で生まれ、出産の時から国籍を持たない方で、その時から引き続き年以上日本に住所がある方。

2.20歳以上で本国法によって能力を有すること

 上に掲げたdefgの場合は、この条件2も免除されます。

3.素行が善良であること
 
「素行が善良」とは、暴力や法律違反でほかの人に重大な迷惑をかけることがないということです。犯罪歴がないこと、何度も警察に補導されていないこと、確定申告で税金をごまかしていないこと、と考えてください。


4.
自己または生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること

 自分の収入で生活できなくても、配偶者(妻や夫のことです)の収入や親族の送ってくれるお金によって生活できればよい、ということになります。ただし、自分を助けてくれる相手の収入・資産などを証明しなくてはならなくなります。この条件4も上に挙げたdefgに当てはまる方は免除されます。

5.国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと

 分かりにくい文ですが、日本に帰化しようとする方のほとんどは、国籍の無い方か日本への帰化によって本国の国籍を失う方ですので、あまり気にしなくても良いです。ただ、ブラジルやインドなど、他国の国籍を取得してからでないと本国の国籍を失うことができないことが法で定められている国もあります。その場合、日本人の配偶者や子、難民など特別な事情のある方に、法務大臣が特別に許可を与える事が出来るとされています。

6.
日本国憲法施行以降の日において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと

 これもほとんどの方は問題ないでしょう。逆に言えば、たとえわずかでもこのような主張・政治活動を行った経験のある外国人が国籍を種国することは難しいでしょう


 「ポイント1-d」,、「ポイント4」から、日本人と国際結婚した外国人の場合、日本での滞在期間、資力の面で、帰化の条件が緩くなっていることが結論付けられます。


【3】国際結婚夫婦の間にできた子供の国籍

 アメリカ、オーストラリア、ペルー、ブラジルなどの国では、国内で出生した子にはその国の国籍を与える、と法によって定められています。これを国籍の生地主義といいます。
 これに対し日本では、父母との血縁を根拠に国籍を与える立場を採っています。これを国籍の血統主義といいます。
 現行の国籍法2条には出生による国籍の選択について以下のような規定があります。
 
 子は、次の場合には、日本国民とする。
 一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
 二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
 三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。

 つまり父母のどちらかが日本人であれば、生まれた場所に関係なく、その子は日本国籍を取得することになります。これを血統主義の中でも特に(父母)両系主義といいます。同じ血統主義のでも、イラン、インドネシア、台湾などでは、父親の国籍に基づいて子にもその国の国籍を与えるとしています。これを父系血統主義といいます。
 また、同じ生地主義でも、国によって父系と両系の差があります。
 
以下、子供の国籍取得に関して、簡単にまとめてみると
 

国名

国籍の選択

父系および両系

韓国

血統主義

両系

中国

血統主義

両系

台湾

血統主義

父系

タイ

血統主義

両系

フィリピン

血統主義

両系

ブラジル

生地主義

両系

ペルー

生地主義

両系

アメリカ

生地主義

両系

カナダ

生地主義

両系

オーストラリア

生地主義

両系

ロシア

血統主義

両系

ドイツ

血統主義

両系

フランス

血統主義

両系

インド

生地主義

両系

インドネシア

血統主義

父系

ベトナム

血統主義

両系

イラン

血統主義

父系



 日本人と外国人との国際結婚の場合、多くの場合、子供は日本国籍と外国籍の両方を取得することとなるため、重国籍状態となります。その場合、結婚による妻の重国籍の場合と同様に、国籍の選択を行います。
 なお、国籍法12条は、日本人の子が生地主義を採る外国で出生し、外国籍を取得した場合の子の国籍の選択について以下のように規定しています。
 
 出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、戸籍法の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本の国籍を失うとしています。

 これを国籍留保主義といいます。具体的には、生まれた日からヵ月以内に出生届とともに国籍留保の届出を滞在国の在外日本公館に対して行うことになります。
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7.親子関係と子の認知について

 国際結婚では、しばしば法律上の親子関係の有無が問題となります。それによって、国籍を含め子の身分上の地位に大きな影響を与えることになるからです。親子関係の成立に関しては、各国でそれぞれ異なる法制度を設けていますが、法律上の婚姻関係にある男女の間の子を嫡出子、法律上の婚姻関係にない男女の間の子を非嫡出子とするという点では多くの国でおおむね一致しています。これら「嫡出親子関係」「非嫡出親子関係」がどのようにして成立するのか、まずは

・嫡出親子関係の成立
 日本に限らず、多くの外国の法律でも、嫡出親子関係の成立には、①父母の法律上の結婚②母親の夫による懐胎の2つを要件としているようです。嫡出親子関係をめぐる問題とは、多くの場合が認められるかどうかの争いです。典型例として、母親が再婚の場合や離婚後に子が出生した場合に、子が母親の婚姻中に懐胎したのかどうかがの争いが考えられます。
 まずは嫡出親子関係に関する日本の民法の規定を頭に入れておきましょう。男女平等に反するとして批判の多い条文でもありますが、違憲判決等が出て法改正が行われない限りは有効です。

(嫡出の推定)
第七七二条 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

 次に、「通則法」は以下のように定めています。

(嫡出である子の親子関係の成立)
第二十八条  夫婦の一方の本国法で子の出生の当時におけるものにより子が嫡出となるべきときは、その子は、嫡出である子とする。

 つまり、父母のいずれかの本国法で嫡出と認められれば、その子は嫡出子となるのです。
 実務に関して一例を挙げますと、日本人と外国人との離婚後301日目に出生した子を嫡出子として出生届があった場合、日本の法律では嫡出の推定ができませんので、外国人の本国法で判断することになります(そのため、役所から外国人親の国籍証明書を添付を要求されることが予想されます)。外国法の上で嫡出と認められれば、その子は日本国の法の下でも嫡出子として扱われることとなります。
 また、再婚後に出生した子であることが判明した場合には、前夫、後夫との関係が調査されます。
 その際、母又は前夫いずれかの本国法により前夫の子として推定され、かつ、母又は後夫いずれかの本国法により後夫の子として推定を受ける場合もありえます。この場合は、父未定の子として取り扱われることとなります(基本通達第3の1(2)ウ(ア))。

・非嫡出親子関係の成立
 非嫡出子との法律上の親子関係の成立については、異なる2つの考え方があります。すなわち、
  認知主義
・・・認知という手続きを経ることによって親子関係が成立する
  事実主義・・・生理学上の親子関係が確認されれば、ただちに法律上の親子関係が成立
の2つです。
 日本の民法は、非嫡出親子関係の成立に関して、母子については事実主義、父子については認知主義を採っています。つまり、母子の親子関係は分娩の事実があれば成立(昭37・4・27最高裁判決、大7・5・30民1159号回答、大11・5・16民事1688号回答)しますが、父子の親子関係は認知の手続きが無ければ成立しません。
 しかし、海外には、父子の親子関係に関しても事実主義を採用する国も多くあり、そのような国の方と国際結婚した場合に、どの国の法律に従えば良いかが問題となります。
 日本の国際私法である 「法の適用に関する通則法」(以下「通則法」)では以下のように定めています。

(嫡出でない子の親子関係の成立)
第二十九条  嫡出でない子の親子関係の成立は、父との間の親子関係については子の出生の当時における父の本国法により、母との間の親子関係についてはその当時における母の本国法による。この場合において、子の認知による親子関係の成立については、認知の当時における子の本国法によればその子又は第三者の承諾又は同意があることが認知の要件であるときは、その要件をも備えなければならない。

 要するに、事実主義を採る国の方との国際結婚においては、事実主義による父子の親子関係成立も容認しているのです。
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8.国際結婚の解消(離婚)について

 国際結婚によって結ばれた男女が婚姻関係を解消する、つまり離婚するに際して必要な条件(実質的成立要件)および方式(形式的成立要件)にはどの国の法律がどのように関係してくるのでしょうか?「通則法」には次のような規定があります。

(離婚)
第二十七条  第二十五条の規定は、離婚について準用する。ただし、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、離婚は、日本法による。

(婚姻の効力)
第二十五条  婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による。
(親族関係についての法律行為の方式)
第三十四条  第二十五条から前条(注:33条のこと)までに規定する親族関係についての法律行為の方式は、当該法律行為の成立について適用すべき法による。
2  前項の規定にかかわらず、行為地法に適合する方式は、有効とする。

 まず、実質的成立要件ですが、27条で「25条の方式を準用しなさい」と言っているので、25条を見てみると、まず①夫婦に共通する本国法、次に②共通常居所地法、最後に③密接関連地法を準拠法(基準とし、従うべき法)として選んでいます。このような準拠法の定め方を段階的連結といいます。
 次に形式的成立要件ですが、34条を見ると、実質的成立要件の準拠法か、行為地法のどちらかを選択すればよいと規定されています。
では、これらを踏まえて、ケース別に国際離婚(「国際結婚」と同様、法律用語ではありません。)の流れを追ってみましょう。

【ケース1】日本で日本人と外国人の夫婦が離婚
 このケースですと、「通則法」27条のただし書きにある、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときに該当することが大半でしょうから、実質的成立要件については日本の法律に従えば良いことになります。
 「常居所」とは、相当の期間にわたって居住する場所のことを指します。戸籍事務上、日本人の場合は住民登録によって日本が常居所と認定されます。ちなみに外国人の場合は個々の案件によって居住年数、居住状況等を総合的に勘案の上、認定されます。
 形式的要件については、実質的要件の準拠法が日本法ですし、行為地法を選択しても同様ですから、これも日本法に従って離婚の手続きをすればよいことになります。つまり戸籍法に基づく市区町村役場への届出です。
 日本法における離婚の方式の特徴としては、協議離婚を認めているので、裁判を行う必要がないこと、また、調停前置主義を採用しているので、離婚裁判は必ず調停を経た後でなければならないこと等があります。協議離婚を認める国には他に韓国、中国がありますが、世界の中では少数派で、多くの国では離婚の成立に裁判による判決を必要としています。

【ケース2】日本で外国人同士の夫婦が離婚
 日本に住む外国人同士の離婚の場合、「通則法」25条の準用により、実質的成立要件の準拠法が決まります。すなわち①夫婦の国籍が同一か、②国籍が同一でない場合は、日本に常居所があるといえるか、③日本が常居所でなければ、日本がその夫婦に密接に関連した場所といえるか、によって判断します。外国人の「常居所」が日本と認定される標準的な在留期間は5年以上(※)とされています。
 形式的成立要件に関しては、夫婦の国籍が同一ならば、その国の法に基づく方式で、そうでなければ、日本が常居所あるいは密接関連地となれば、日本の法に基づく方式で離婚することになります。また、34条2項から、「行為地法」ということでも、日本法を準拠法とすることは可能です。
 ここで重要なことは、外国人であっても協議離婚が可能ということです。たとえ本国法が裁判離婚しか認めない取り決めであっても、日本では法的に有効に離婚が成立します。ただし、後のトラブルを避けるため、離婚裁判が必要な国の方はきちんと裁判を経ることが重要です。


※基本通達平元・10・2民二3900号法務省民事局長通達の第8「常居所の認定」による。なお、「永住」「定住」「配偶者」等のビザを有する外国人に関しては1年以上、外国人の子で出国していない者や日配又は永配の子等は在留期間に関係なく、それぞれ常居所が日本と認定される扱い)
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<ここがポイント!Q&A> 「3分で読む!入管行政書士福原の就労ビザ入門」より一部変更の上抜粋

Q.外国人女性と日本人男性との間にできた婚外子を父親が認知しない場合、どんなビザが取れますか?

A.父親が「認知」しない場合には、母親の在留資格によって「定住者」や「家族滞在」などの在留資格が与えられますが、母親の在留資格が「短期滞在」や「興業」など、短期間の滞在を想定したものである場合、実務上その可能性はきわめて低いでしょう。
このような場合は、子の出生後すぐに裁判所で「認知請求」を行い、強制的に父親の「認知」を得る方法があります。(上記通達は強制認知、死後認知を受容しています)出生後30日以内に認知を得たなら、入管で「日本人の配偶者」の在留資格取得申請を行います。
なお、出生後30日を過ぎても、1年以内であれば、「特別受理」してくれる可能性もあるようです。あきらめないことが肝心ですね。
なお、請求の審議(裁判・調停)の継続中は、それを理由に母子とも「短期滞在」あるいは「特定活動」への在留資格変更が認められますので、(現在はほとんどの場合「特定活動」を与える運用となっている)母親の在留期限が近づいているならば、必ず行うことです

(日本人父と外国人母の間に生まれた婚外子の国籍取得に関しては、平成20年6月4日の最高裁違憲判決を受け、国籍法の改正が検討されており、入管行政上の取扱いも、今後それに応じて変化するものであることが予想されます。ご注意ください。'08.11.30 記)⇒平成20年12月12日国籍法が改正されました!



Q.友人Aは中国人で、5年前に日本の永住権を取りました。Aには同じ中国人の妻Bがいるのですが、どうやら、日本滞在中に仲良くなったアメリカ人女性Cを妊娠させてしまったようです(現在妊娠3カ月)。Aはこの子に関して認知する意志を固めているようですが、この場合、Cの生んだ子供の国籍と在留資格は一体どうなるのでしょうか?また、日本国内で生まれたことで、日本国籍を得る可能性がありますか?


A.まず、在留資格についてですが、
1)Aさんの認知
2)Cさんが日本で子供を産み、育てる  

という条件のもとで、Cさんの子供には「永住者の配偶者等」の在留資格が与えられることとなります。
「永住者の配偶者等」とは、「永住者の在留資格をもって在留する者、若しくは「平和条約国籍離脱者」など、入管特例法に定める「特別移住者」 (便宜上両者を合わせ「永住者等」と呼ぶ)の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留しているもの」を指します。そして、ここでいう「子」とは、嫡出子ばかりでなく認知された非嫡出子も該当します。

ですから、出生後、30日以内に地方入国管理局(およびその支局・出張所)に在留資格取得の申請を行っていただければ、特に問題のない限り「永住者の配偶者等」の在留資格が与えられるでしょう。

その前に、
・出生届⇒市区町村役場
・子供の旅券の発給⇒駐日大使館・領事館
という手続きを行っておく必要がありますよ。(念のため)

次に国籍についてですが、
出生とともに日本の国籍が取得できるための条件は
1.出生のとき父又は母が日本国民であるとき
2.出生前に死亡した父が死亡の前に日本国民であったとき
3.日本で生まれた場合において父母がともに知れないとき 
 又は国籍を有しないとき
(国籍法2条1~3項2008.11.20)

ですから、この場合は該当しません。
出生後、「準正による帰化」を行うことがありますが、この場合も両親いずれかが日本国籍であることが条件ですから、(国籍法3条1項)本件のケースは該当しません。

という訳で、日本で出生したことが影響するのは在留資格の方で、日本国籍の取得の方には直接影響はないのです。もちろん、その後日本で暮らし続ければ、帰化による国籍取得の要件は緩和されます(簡易帰化)。ちなみに、Cさんが日本国外で子供を出産した場合は、子供の在留資格は「定住者」となります。(「定住告示」六の二)
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国籍法が改正されました(以下、民事局ホームページより抜粋)

平成20年12月12日、国籍法が改正(平成21年1月1日施行)され、出生後に日本人に認知されていれば、父母が結婚していない場合にも届出によって日本の国籍を取得することができるようになりました。
また、虚偽の届出をした者に対する罰則が設けられました。


国籍法第3条による国籍取得の手続次の要件に該当する方は、法務大臣に届け出ることによって日本の国籍を取得することができます。

新しい国籍法第3条の要件

○国籍を取得しようとする者が・・・
・父又は母に認知されていること
・20歳未満であること
・日本国民であったことがないこと
・出生したときに,認知をした父又は母が日本国民であったこと

○認知をした父又は母が,現に(死亡している場合には,死亡した時に)日本国民であること
届出の方法本人(15歳未満のときは法定代理人)が届出先に出向き、書面によって届け出ることが必要です。

・届出先本人が日本に住所を有する場合⇒住所地を管轄する法務局・地方法務局
・本人が海外に住所を有する場合⇒日本の大使館又は領事館

【国籍取得に関する経過措置】


すでに20歳を超えているなど、現在は国籍法第3条第1項の要件に該当しない方でも、以下に該当する方は、平成23年12月31日までに法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができます。

Ⅰ)昭和58年1月2日以後に生まれた方で,生まれた時に父が日本人であり,20歳に達するまでにその父に認知された方
ただし、父が今も(死亡しているときは死亡した時に)日本人であることが必要です。(附則第4条第1項)
国籍を取得する時:届出の時(附則第4条第2項)

Ⅱ)平成20年6月4日までに国籍取得の届出書を提出した(従前の届出)が,父母が結婚していなかったため、日本の国籍を取得することができなかった方(附則第2条第1項)

①昭和60年1月1日から平成14年12月31日までに届け出ていた方(附則第2条第3項本文)
国籍を取得する時:新たに届け出た時

②平成15年1月1日から平成20年6月4日までに届け出ていた方(附則第2条第3項ただし書)
国籍を取得する時:従前の届出の時

Ⅲ)Ⅱの①により国籍を取得した方の子で、その父又は母が日本の国籍を取得するまでに生まれた子(ただし、父又は母がした従前の届出以後に出生した子に限られます。)(附則第5条第1項)
国籍を取得する時:届出の時(附則第5条第2項)

嘘の届出に対する刑罰
本当は自分の子ではないのに、自分の子だとして嘘の認知の届出をしたり、嘘の認知を利用して国籍取得の届出をすると処罰されることがあります。



改正国籍法Q&A

Q1:今回の法改正によって、どのような点が変わったのですか。

A1:大きく変わる点が2つあります。1つは、出生後に日本人の親に認知された子の届出による国籍取得(国籍法第3条の国籍取得届)について、改正前の国籍法では、日本人の父から認知されていることに加えて、父母が結婚していることが要件とされていましたが、今回の改正により、父母が結婚していることという要件が削除され、認知がされていることのみで国籍を取得することができるようになったことです。
もう1つは、国籍取得の届出に際して、虚偽の届出をした者に対する罰則が設けられたことです。


Q2:なぜ改正が必要だったのですか。

A2:平成20年6月4日、最高裁判所は、「日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子について、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した(準正のあった)場合に限り日本国籍の取得を認めていることによって、認知されたにとどまる子と準正のあった子の間に日本国籍の取得に関する区別を生じさせていることは、憲法第14条に違反する」との判決を言い渡しました。この判決を受けて、違憲状態を解消するため、父母が婚姻していない子にも届出による日本の国籍の取得を可能とすることなどの改正をしたものです。


Q3:なぜ罰則が設けられたのですか。

A3:今回の改正により、日本人男性と子の間に実際には親子関係がないのに、親子関係があると偽って認知届をし(偽装認知)。その認知事項が記載された戸籍謄本を添付書類として国籍法第3条の国籍取得の届出書を法務大臣に提出して不正に日本国籍を取得しようとする事案が発生する懸念があります。
そこで、改正法では、虚偽の国籍取得の届出書を提出した者(本人が15歳未満のときは父母などの法定代理人)に対する制裁として、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する刑罰が設けられました(国籍法第20条)。
なお、虚偽の認知届を提出する行為及び虚偽の国籍法第3条の国籍取得届によって不正に取得した国籍証明書を添付して戸籍法第102条の国籍取得届をする行為についても、公正証書原本不実記載罪(刑法第157条第1項)等により、それぞれ5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。


Q4:改正後の国籍法第3条第1項の規定により国籍を取得するためには、どのような手続が必要ですか。

A4:
1届出方法
 本人(15歳未満のときは,父母などの法定代理人)が自ら届出先に出向き,国籍取得の要件を備えていることを証する書類を添付し、書面によって届け出ることが必要です。詳しい手続は、届出先となる法務局・地方法務局又は日本の大使館もしくは領事館にご相談ください。

2届出先
(1) 本人が日本に住所を有する場合⇒住所地を管轄する法務局・地方法務局
(2) 本人が外国に住所を有する場合⇒日本の大使館又は領事館


Q5:改正後の国籍法第3条第1項の国籍取得届に添付する書類とはどのような書類ですか。

A5:改正後の国籍法第3条第1項の国籍取得届に添付する書類とは、次に掲げる書類ですが、具体的には届出先となる法務局・地方法務局又は日本の大使館もしくは領事館にお問い合わせください。

○添付を要する書類
1認知した父又は母の出生時からの戸籍及び除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書
2国籍の取得をしようとする者の出生を証する書面
3認知に至った経緯等を記載した父母の申述書
4母が国籍の取得をしようとする者を懐胎した時期に係る父母の渡航履歴を証する書面
5その他親子関係を認めるに足りる資料

なお、やむを得ない理由により、3及び4の書類を添付することができないときは、その理由を記載した書類を提出する必要があります。
また、認知の裁判が確定しているときは、3から5までの書類を添付する必要はありません。


Q6:父母が婚姻していなかったため、国籍法改正前には日本の国籍を取得することができませんでした。既に20歳を超えていますが、今から国籍を取得する方法はありますか。

A6:次の方は,平成21年1月1日(施行日)から平成23年12月31日(施行日から3年以内)までに法務大臣に届け出ることによって日本の国籍を取得することができます。

①昭和58年1月2日以降に生まれた方で、生まれたときに父が日本人であり、20歳に達するまでにその父に認知された方。ただし、父が今も(死亡しているときには、死亡した時に)日本人であることが必要です。

②平成20年6月4日までに国籍法第3条第1項の国籍取得の届出書を提出した(「以下「従前の届出」といいます。)が、父母が結婚していなかったため、日本の国籍を取得できなかった方。
ただし、従前の届出当時、改正後の国籍法第3条第1項の要件を満たしていたことが必要です。


Q7:平成20年6月4日までに国籍法第3条第1項の国籍取得の届出書を提出(従前の届出)している場合の国籍取得のしくみはどのようになっているのですか。

A7:
①昭和60年1月1日から平成14年12月31日までに従前の届出をしていた方は、施行日から3年以内に法務大臣に届け出ることによって、新たに届け出た時から日本の国籍を取得することができます。(附則第2条第1項、同条第3項本文)

②平成15年1月1日から平成20年6月4日までに従前の届出をしていた方は、施行日から3年以内に法務大臣に届け出ることによって、従前の届出の時にさかのぼって、日本の国籍を取得することができます。(附則第2条第1項,同条第3項ただし書)

③平成20年6月5日から平成20年12月31日(施行日の前日)までの間に従前の届出をしていた方は、施行日に法務大臣に対する届出を行ったものとみなされ、従前の届出の時にさかのぼって日本の国籍を取得します。よって、特段の手続は必要ありません。(附則第2条第1項、同条第3項ただし書、附則第3条第1項)


Q8:附則の規定による届出によって国籍を取得した場合、子の国籍はどのようになるのでしょうか。

A8:
①附則第2条第1項及び同条第3項本文の規定により新たな届出の日から日本の国籍を取得した方(昭和60年1月1日から平成14年12月31日までに従前の届出をしていた方)の子で、従前の届出の日以後父又は母が国籍を取得する日までに生まれた子は、平成21年1月1日(施行日)から平成23年12月31日(施行日から3年以内)までに法務大臣に届け出ることによって、届出の日から日本の国籍を取得することができます。(附則第5条第1項)

なお、附則第4条第1項の規定によって日本の国籍を取得した方(昭和58年1月2日以降に生まれた方で、生まれたときに父が日本人であり、20歳に達するまでにその父に認知された方)の子については、附則第5条第1項の届出によって、日本の国籍を取得することはできません。

②従前の届出の時にさかのぼって日本の国籍を取得した方(平成15年1月1日から施行日までに従前の届出をしていた方)の子で、従前の届出の日以後に生まれた子は、生まれながらにして日本の国籍を取得しています。(国籍法第2条第1号)


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