日本人が外国人と国際結婚することで、当事者の国籍にはどのような影響があるのでしょうか?また、国際結婚夫婦の間にできた子供の国籍は一体どうなるのでしょうか?このことはこれから国際結婚する方にとっては非常に気になるところではないでしょうか?
【1】国際結婚と日本人の国籍
現行の「国籍法」から読み取れる特徴としてまず知っておいていただきたいのは、①日本人が国際結婚をしたことによって、直ちに日本国籍を失うことはないこと ②原則として日本人が重国籍(二重国籍)になることを認めていないこと、です。
ただし、各国の法律では、夫側の国籍を優先し、妻がそれに従うことを要求する規定も多く存在するため、日本人女性が外国人男性と結婚する場合には注意が必要であり、国際結婚後の国籍の変化について次の3つのケースに分けてことが考えられます。
1.結婚することで当然に相手国の国籍を得る場合
日本人女性がアフガニスタン、イラン、エチオピア、スイスなど、「夫婦国籍同一主義」を採る国の男性と結婚した場合、夫の本国の国籍を自動的に取得します。注意して頂きたいのは、このとき日本国籍が失われるわけではない、ということです。このときの日本人妻の状態を「重国籍」あるいは「二重国籍」と呼びます。
国籍法14条には、重国籍となったのが20歳に達する以前であるときは22歳になる前に、20歳に達していた場合は、それから2年以内にいずれか一方の国籍を選択しなければならないことが定められています。日本国籍選択の意思表示は、所在地、あるいは本籍地市区町村役場への届出で可能です。
なお、上記期限内に国籍選択の意思表示がなされなかった場合、法務大臣より国籍選択の催告が書面によって行われます。催告を受けた日から1か月以内に意思表示をしなかった場合、日本国籍を喪失することになります。
2.結婚後の意思表示によって相手国の国籍を得る場合
日本人女性がドイツ、フランス、ベルギー、ポーランド、インドネシア、インド、エジプト、タイ、ペルー、マレーシアなど、の男性と結婚した場合で、相手国籍の取得を希望する場合は、国籍選択の意思表示をすることで、相手国の国籍を得、日本国籍を喪失することとなります。意思表示の方法については、相手国の結婚の方式をあらかじめよく調べておいてください。外国語で書かれた日本国籍喪失の書面にサインしていた事に後で気づいた、という例があります。
3.帰化によって相手国の国籍を得る場合
結婚の成立後、相手国への帰化申請によって相手国籍を得るケースです。申請が許可された場合も、自動的に日本国籍が失われる訳ではなく、日本国籍喪失の届出を行う必要があります。
【2】国際結婚と外国人の国籍
日本の「国籍法」には、国際結婚によって外国人が日本国籍の取得するという規定はありませんので、結婚後も国籍には変化がないとご理解ください。
日本国籍の取得を希望される場合は、帰化許可申請を行う必要があります。「帰化」のための条件は日本の国籍法に定められていて、外国人が日本に帰化したいと思った場合、次の6つの条件を満たさなければならないとされています。
1.引き続き5年以上日本に住所を有すること(国籍法5条1項1号)
2.20歳以上で本国法によって能力を有すること(国籍法5条1項2号)
3.素行が善良であること(国籍法5条1項3号)
4.自己または生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること(国籍法5条1項4号)
5.国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと(国籍法5条1項5号)
6.日本国憲法施行以降の日において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと(国籍法5条1項6号)
<ポイント>
1.引き続き5年以上日本に住所を有すること
「住所」とは日本の民法22条で定める「生活の本拠」のこと。簡単に言えば「毎日寝たり起きたりする場所が決まっていて、その場所があることをきちんと市町村役場に届けてある」ということです。「日本で家を買った」というだけではだめです。
なお、1.の条件はつぎのような場合は免除されます。
a.日本国民だった者の子(養子は含まれません)で、引き続き3年以上日本に住所又は居所(住所でなくてかまいません)がある方。
b.日本で生まれ、引き続き3年以上日本に住所若しくは居所がある方。又はその父母若しくは母(養父母は含まれません)が日本で生まれ、現在日本に住所がある方。
c.引き続き10年以上日本に居所があり、現在日本に住所がある方。
d.日本人と結婚している外国人で、引き続き3年以上日本に住所又は居所があり、現在日本に住所がある方。あるいは、婚姻の日から3年(この3年間は外国でも構いません)を経過し、引き続き1年以上日本に住所がある方。
e.日本国民の子(養子は含まれません)で日本に住所がある方、あるいは引き続き1年以上日本に住所があり、縁組のとき本国の法により未成年であった方
f.日本の国籍を失った方で、日本に住所がある方。ただし日本に帰化した後で日本の国籍を失った方は含まれません。
g.日本で生まれ、出産の時から国籍を持たない方で、その時から引き続き3年以上日本に住所がある方。
2.20歳以上で本国法によって能力を有すること
上に掲げたd・e・f・gの場合は、この条件2も免除されます。
3.素行が善良であること
「素行が善良」とは、暴力や法律違反でほかの人に重大な迷惑をかけることがないということです。犯罪歴がないこと、何度も警察に補導されていないこと、確定申告で税金をごまかしていないこと、と考えてください。
4.自己または生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること
自分の収入で生活できなくても、配偶者(妻や夫のことです)の収入や親族の送ってくれるお金によって生活できればよい、ということになります。ただし、自分を助けてくれる相手の収入・資産などを証明しなくてはならなくなります。この条件4も上に挙げたd・e・f・gに当てはまる方は免除されます。
5.国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと
分かりにくい文ですが、日本に帰化しようとする方のほとんどは、国籍の無い方か日本への帰化によって本国の国籍を失う方ですので、あまり気にしなくても良いです。ただ、ブラジルやインドなど、他国の国籍を取得してからでないと本国の国籍を失うことができないことが法で定められている国もあります。その場合、日本人の配偶者や子、難民など特別な事情のある方に、法務大臣が特別に許可を与える事が出来るとされています。
6.日本国憲法施行以降の日において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと
これもほとんどの方は問題ないでしょう。逆に言えば、たとえわずかでもこのような主張・政治活動を行った経験のある外国人が国籍を種国することは難しいでしょう。
「ポイント1-d」,、「ポイント4」から、日本人と国際結婚した外国人の場合、日本での滞在期間、資力の面で、帰化の条件が緩くなっていることが結論付けられます。
【3】国際結婚夫婦の間にできた子供の国籍
アメリカ、オーストラリア、ペルー、ブラジルなどの国では、国内で出生した子にはその国の国籍を与える、と法によって定められています。これを国籍の生地主義といいます。
これに対し日本では、父母との血縁を根拠に国籍を与える立場を採っています。これを国籍の血統主義といいます。
現行の国籍法2条には出生による国籍の選択について以下のような規定があります。
子は、次の場合には、日本国民とする。
一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。
つまり父母のどちらかが日本人であれば、生まれた場所に関係なく、その子は日本国籍を取得することになります。これを血統主義の中でも特に(父母)両系主義といいます。同じ血統主義のでも、イラン、インドネシア、台湾などでは、父親の国籍に基づいて子にもその国の国籍を与えるとしています。これを父系血統主義といいます。
また、同じ生地主義でも、国によって父系と両系の差があります。
以下、子供の国籍取得に関して、簡単にまとめてみると
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国名
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国籍の選択
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父系および両系
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韓国
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血統主義
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両系
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中国
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血統主義
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両系
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台湾
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血統主義
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父系
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タイ
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血統主義
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両系
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フィリピン
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血統主義
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両系
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ブラジル
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生地主義
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両系
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ペルー
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生地主義
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両系
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アメリカ
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生地主義
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両系
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カナダ
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生地主義
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両系
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オーストラリア
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生地主義
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両系
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ロシア
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血統主義
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両系
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ドイツ
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血統主義
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両系
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フランス
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血統主義
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両系
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インド
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生地主義
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両系
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インドネシア
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血統主義
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父系
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ベトナム
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血統主義
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両系
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イラン
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血統主義
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父系
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日本人と外国人との国際結婚の場合、多くの場合、子供は日本国籍と外国籍の両方を取得することとなるため、重国籍状態となります。その場合、結婚による妻の重国籍の場合と同様に、国籍の選択を行います。
なお、国籍法12条は、日本人の子が生地主義を採る外国で出生し、外国籍を取得した場合の子の国籍の選択について以下のように規定しています。
出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、戸籍法の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本の国籍を失うとしています。
これを国籍留保主義といいます。具体的には、生まれた日からヵ月以内に出生届とともに国籍留保の届出を滞在国の在外日本公館に対して行うことになります。 |